AI Overviewsでアクセスが減った? 実は CTR が回復し始めているという最新データと、今やるべきこと
この記事のポイント
Seer Interactive の 53 ブランド・5.47M クエリ調査で、AI Overviews 表示クエリの organic CTR が 2025 年 12 月の 1.3% から 2026 年 2 月には 2.4% へ 85% 回復しました。引用ページは非引用比 +120% のクリックを獲得。今やるべきは、冒頭 30% への定義配置、FAQ 整備、一次情報の埋め込み、AIO 出現率と引用率の月次計測の 4 つです。

AI Overviews CTR 回復とは、Google の AI Overviews(AIO)が表示される検索クエリで、一度大きく落ち込んだ自然検索の CTR が再び上昇している現象を指します。Seer Interactive が 2025 年 1 月から 2026 年 2 月にかけて 53 ブランド・約 547 万クエリ・24.3 億インプレッションを分析した 調査レポートでは、AIO 表示クエリの organic CTR が 2025 年 12 月の 1.3% から 2026 年 2 月には 2.4% に戻り、わずか 2 ヶ月で 85% アップしました。AI Overviews を理由にオウンドメディアを縮小しようとしているなら、この変化を踏まえてから判断しても遅くはありません。この記事では、CTR 回復の背景と、今日から自社記事に反映できる 5 つのアクションを整理します。
AI Overviews の CTR が回復したとは、具体的にどういうこと?
まず数字を押さえてから話を進めます。「AI Overviews 時代は終わった」という極端な悲観論も、「もう関係ない」という極端な楽観論も、実態の数字から離れた感想に過ぎません。
Seer Interactive の 53 ブランド・5.47M クエリの調査が示した数字
Seer Interactive は北米を中心とした 53 ブランドの Search Console データを統合し、AIO 表示の有無別に CTR を継続計測しています。期間は 2025 年 1 月から 2026 年 2 月、対象クエリは約 547 万、インプレッションは 24.3 億回。サンプルサイズとしては業界最大級の規模です。同レポートでは、AIO が表示されないクエリの CTR は通期で約 3.3% で安定していたのに対し、AIO が表示されるクエリの CTR は 2025 年中盤に 2.5% 台から 1.3% まで急落し、その後反転して 2026 年 2 月時点で 2.4% まで戻ったと報告されています。
2025 年中盤からずっと下がり続けていた CTR が反転した時系列
時系列で並べると次のようになります。2025 年 5 月の Google I/O 直後から AIO 表示が拡大し、organic CTR が広く下落。2025 年 9 月から 12 月にかけて底を打ち、AIO 表示クエリの平均 CTR は 1.3% まで沈みました。ところが 2026 年 1 月以降、ユーザー側の行動変化とパブリッシャー側のコンテンツ最適化が同時に進み、2026 年 2 月には 2.4% へ戻りました。AIO 非表示クエリの 3.3% にはまだ届いていませんが、「下がり続けるトレンド」が止まったことは明確です。
AI Overviews を読んだあと、結局オリジナルソースをクリックするユーザー行動の定着
回復の中心にあるのは、ユーザー側の行動変化です。AIO が登場した直後、多くのユーザーは要約だけで満足し、ソースまで降りませんでした。しかし運用が 1 年を超え、AIO の要約が常に正確とは限らないと学習したユーザーが、確認のために引用元をクリックする行動を取り戻し始めています。Seer の同レポートでも「AIO の citation 経由クリックが組織全体のクリックを支えている」と分析されており、AIO は流入の終わりではなく、新しい入り口として機能し始めています。
なぜ CTR が回復しているのか - 3 つの仮説
数字が戻った理由は 1 つではありません。実務上、自社記事の作り方を判断するためには、どの仮説に重みを置くかで打ち手が変わります。
仮説 1 高インテントの選別効果
AIO の要約だけで答えが出る低インテント(軽い疑問の解消)ユーザーは、もはやクリックしません。残ったのは「AIO の要約では納得しない・もっと詳しく知りたい・出典を確認したい」という高インテントのユーザー層です。母数は減りましたが、クリックする確率は上がりました。これが AIO 表示クエリの CTR 回復に直接効いている第一の仮説です。マーケ実務上の含意は、ライト読者向けの薄いまとめ記事より、専門家向けの深掘り記事の方が AIO 時代のクリック価値が高いということになります。
仮説 2 AI Overviews の citation 経由クリックが伸びている
Seer Interactive の調査では、AIO の citation(引用)に表示されたページの CTR は約 2.1%、表示されなかったページは約 0.9% でした。引用ページは非引用ページに比べて +120% のクリックを獲得しており、AIO に「載るか・載らないか」が、もはや AIO 時代の最大の分水嶺です。完全回復を待つより、自社記事を引用される側に回す施策のほうが投資対効果が高い、というのが第二の仮説の含意です。
仮説 3 パブリッシャー側が AI 検索でも踏まれる記事の作り方を学習した
2025 年中盤からの 1 年弱で、パブリッシャー側の記事構造は大きく変わりました。冒頭に定義と結論を置く、FAQ で質問形クエリに直接答える、一次情報・実測値・社内事例を埋め込む、といった構造が広く採用されました。AIO は引用元を選ぶ際、こうした「定義 + 根拠 + 即答可能な FAQ」の構造を優先する傾向があり、最適化された記事ほど引用率が上がっています。Ahrefs の 30 万キーワード調査では position 1 の CTR が AIO 導入で約 58% 落ちたと報告されていますが、その後に CTR を取り戻しているサイトの共通点は、まさにこの構造への作り変えでした。
仮説 1 〜 3 は排他的ではありません。実際の現場では「ライト読者は離脱した」「引用された記事だけがクリックを取れる」「構造を直したサイトが生き残った」が同時に起きています。打ち手は 3 つを同時に効かせる前提で組みます。
ただし全部のクエリが回復したわけではない - 4 つの象限
ここで注意が必要なのは、CTR 回復は全クエリで一律に起きたわけではない、という点です。クエリのインテントによって AIO 出現率も回復速度もまったく違います。
AIO 表示率が高いクエリの種類
Seer Interactive と BrightEdge の調査を重ねると、クエリ種別ごとの AIO 出現率は次のようになります。
| クエリ種別 | AIO 出現率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 比較系 | 95.4% | 「A vs B」「おすすめ N 選」など、AIO がほぼ必ず出る |
| 質問系 | 85.9% | 「〜とは」「なぜ〜」など、要約に向く |
| 情報系 | 36% | 概念解説・ノウハウ、AIO は半々 |
| 取引系 | 5% | 「申込」「料金」「ログイン」など、AIO 影響は限定的 |
BrightEdge の別調査では、全検索クエリでの AIO トリガー率は 25.8%、情報系に絞ると 39.4% に上るとされています。比較系・質問系は AIO 必至、取引系はまだ通常検索が主戦場、という温度差を前提にすると施策の優先順位が決まります。
自社サイトのキーワードを 4 象限に振り分ける手順
Search Console のクエリレポートをエクスポートし、上位 100 〜 300 クエリを次の 4 象限に振り分けます。第一象限が比較系(vs / 比較 / おすすめ / ランキング)、第二象限が質問系(〜とは / なぜ / どうやって)、第三象限が情報系(概念名・カテゴリ名単体)、第四象限が取引系(料金 / 申込 / ログイン / ダウンロード)です。クエリ単位での AIO 出現有無は、Search Console の「ページ」と「検索での見え方」を組み合わせるか、外部の rank tracker で確認できます。
どの象限から手を打つかの優先順位
優先順位の基本は、第一・第二象限から着手することです。AIO がほぼ必ず出るため、引用される側に回らないと露出ゼロが固定化します。第三象限はインプレッションが大きい記事から段階的に。第四象限はもともと AIO の影響が小さく、従来の SEO 施策をそのまま続ければ十分です。1 記事 1 クエリの単純対応ではなく、象限ごとに「定義文・FAQ・一次情報」の整備度合いを変えるのが現実的です。
AI Overviews 時代でも自社記事を諦めるべきでない 4 つの理由
CTR が完全回復していないからといって、オウンドメディアを縮小する判断は早すぎます。むしろ AIO 時代だからこそ自社記事の戦略的価値が上がっている側面があります。
理由 1 AI 検索の引用元の起点は自社サイトの専門コンテンツ
AIO・ChatGPT・Perplexity・Claude などの生成 AI 検索は、すべて Web 上の専門コンテンツを引用元にしています。引用されるためには、そもそも自社の専門知が記事として公開されていなければ始まりません。SNS や YouTube は引用源として弱く、検索可能なテキスト記事の優位は AI 検索時代でも崩れていません。詳しくは AI 検索の引用プラットフォーム別シェアの比較で扱っています。
理由 2 ブランド検索は逆に CTR 18% アップ
Search Engine Journal の分析では、ブランド名や指名検索は AIO の影響を受けにくく、むしろ平均で約 18% の CTR 上昇を示したケースが報告されています。AIO は一般的な疑問解消には強いものの、「特定企業の最新情報」には弱く、ユーザーは指名でサイトに直接来ます。ブランド想起を強化する記事戦略は AIO 時代でも有効、というより重要性が増しています。詳細は AI 検索時代のブランドポジショニングで深掘りしています。
理由 3 引用されるページは非引用ページ比 +120% のクリック獲得
仮説 2 で触れた「citation あり 2.1% / なし 0.9%」の差は、AIO 時代の記事戦略の最重要 KPI です。引用されるページに集中投資して、引用されないページを段階的に整理することが、限られたリソースで流入を守る最短ルートになります。AI 検索におけるコンセンサス形成の構造については AI コンセンサスレイヤー戦略で扱っています。
理由 4 AI Overviews が要約しきれない深さ・一次情報・具体性
AIO は短い要約を生成するため、長文の事例・実測値・図解付きの解説は要約に収まりません。要約に収まらない情報は、ユーザーがクリックしないと取れない、という構造的な優位を生みます。一次情報を持つ記事は AIO 時代に強くなる、というのは AI 時代のコンテンツは明快さで勝つで議論したとおりです。
CTR 回復の波に乗るために、今日からやれる 5 つのこと
仮説と象限を踏まえたうえで、明日から自社記事に反映できる具体的なアクションを 5 つ示します。新規記事だけでなく、既存記事のリライトにも同じ枠組みが使えます。
1. 冒頭 30% に結論と定義を配置
AIO は記事冒頭の構造化された情報を引用しやすい傾向があります。タイトル直下に「〜とは」形式の定義文を 1 〜 2 段落で書き、すぐに結論(具体的な数字・名前・手順)を配置します。読了率が低い読者でも結論を持ち帰れるという副次効果もあり、AIO に引用されない記事でもクリック後の満足度が上がります。冒頭定義の置き方は AI 時代のコンテンツは明快さで勝つに例があります。
2. FAQ 構造を整備
質問系クエリの AIO 出現率は 85.9%。記事末尾に Q&A 形式の FAQ を 3 〜 5 個配置し、構造化データ(FAQPage)を出力します。「〜とは」「なぜ〜」「どうやって〜」「いくらかかる」「いつ始まる」などの典型的な疑問形に直接答える形にすると、AIO の引用源として選ばれやすくなります。質問はキーワードプランナーや「他の人はこちらも質問」の候補から実データで拾います。
3. 一次情報(自社データ・社内事例)を 1 記事に最低 1 つ
Web 上を探せば見つかる二次情報だけで構成された記事は、AIO に要約された時点で読みに来る理由が消えます。逆に、自社の運用データ・社内事例・独自実測・専門家インタビューといった一次情報が含まれる記事は、AIO で要約されても「元データを確認したい」というクリック動機を残します。1 記事に最低 1 つの一次情報を埋める運用ルールに変えるだけで、引用率とクリック率の両方が改善します。
4. 比較系・質問系クエリで自社引用を月 1 で確認
主要キーワード 20 〜 30 個について、月 1 回 AIO の引用元を確認します。自社が引用されているか、競合が引用されているか、引用されている記事の構造はどうか、という 3 点を観察するだけで、次のリライト対象が見えてきます。引用源として安定するまで 3 〜 6 ヶ月かかるケースが多いので、施策とモニタリングは継続前提で組みます。AI ボットのアクセス急増がパブリッシャーに与えている影響については AI ボットトラフィックの急増とパブリッシャーも参考になります。
5. 計測指標を AIO 出現率 × 引用率 × インプレッション × CTR の 4 軸に分解
CTR 単独で判断すると、「AIO に出ていない・引用もされていない」記事の根本問題を見逃します。推奨は AIO 出現率、引用率、インプレッション、CTR の 4 軸分解です。出現率が低いなら新規記事の構造から、引用率が低いなら定義 + 一次情報 + FAQ の整備から、インプレッションが低いならキーワード再選定から、CTR が低いならタイトル・description のリライトから、というように打ち手が一意に決まります。Discover 流入の急減については Discover トラフィック急減への対応で別の角度から扱っています。
spotyou を使って AI Overviews 時代の記事を量産するワークフロー
ここまでの 5 つのアクションを毎週 5 〜 10 記事で回すには、人手だけでは現実的に追いつきません。spotyou は AI 検索時代の記事制作を 3 段で支援するサービスとして、戦略モード・記事生成モード・コンプラチェックモードを提供しています。
戦略モードでは、Search Console と外部キーワードデータを組み合わせて、自社サイトのキーワードを比較系・質問系・情報系・取引系の 4 象限に振り分けます。AIO 出現率と引用率を加味して、優先的にリライトすべき記事と新規作成すべきテーマを提案します。記事生成モードでは、冒頭定義文・H2/H3 構造・FAQ・一次情報の埋め込み枠を最初から組み込んだドラフトを生成します。一次情報は社内資料や運用データから差し込めるよう、編集者がブロック単位で挿入できます。コンプラチェックモードでは、薬機法・景表法・著作権・引用元の信憑性を一括で点検し、公開前のリスクを抑えます。
社内に AI 検索の専門家がいなくても、ワークフローに沿って書けば「定義 + FAQ + 一次情報」の 3 点セットを毎回担保できる。これが、AI Overviews 時代を前提に作られた spotyou の設計思想です。
まとめ - AI Overviews は終わりではなく、新しい入り口
最後にこの記事の要点を整理します。
- Seer Interactive の 53 ブランド・547 万クエリ調査で、AIO 表示クエリの CTR は 2025 年 12 月の 1.3% から 2026 年 2 月の 2.4% へ 85% 回復した
- 完全回復は AIO 非表示クエリの 3.3% にはまだ届いていないが、下落トレンドは止まり、引用ページは非引用比 +120% のクリックを獲得している
- 比較系 95.4% / 質問系 85.9% / 情報系 36% / 取引系 5% の 4 象限で AIO 出現率は大きく違う。施策はクエリ象限別に組む
- 今日からやれることは、冒頭 30% への定義配置、FAQ 整備、一次情報の埋め込み、比較系・質問系の月次引用確認、AIO 出現率と引用率を含む 4 軸計測の 5 つ
- AI Overviews は流入の終わりではなく、引用される側に回るための新しい入り口。オウンドメディアを縮小する判断は、引用率を改善してからでも遅くない
CTR の数字を眺めて一喜一憂するより、引用される記事を 1 本ずつ増やす運用に切り替えてください。AIO 時代に強い記事構造は、AIO がさらに進化しても通用する基礎体力になります。
よくある質問
AI Overviews の CTR は今後も回復し続けますか
Seer Interactive の調査では 2025 年 12 月の 1.3% から 2026 年 2 月の 2.4% まで戻りましたが、AIO 非表示クエリの約 3.3% にはまだ届いていません。完全回復より「引用される側に回ること」を前提にした記事設計が現実的です。
AI Overviews でクリックが減ったから、オウンドメディアを縮小すべきですか
縮小よりも軸の組み替えを推奨します。AI 検索は引用元として自社サイトの専門コンテンツを必要としており、引用されたページのクリックは非引用比で +120% という調査もあります。量産より「引用される質」へ振るのが結果的に流入を守ります。
どんなクエリが AI Overviews に表示されやすいですか
Seer Interactive の調査では、比較系クエリ 95.4%、質問系 85.9%、情報系 36%、取引系 5% の出現率です。比較・質問系は AIO 必至、取引系はまだ通常検索が主戦場という前提でキーワードを 4 象限に振り分けると優先順位が決まります。
CTR を計測する以外に、AI Overviews 時代に追うべき指標はありますか
推奨は AIO 出現率、引用率、インプレッション、CTR の 4 軸分解です。CTR だけ見ていると「AIO に出ていない・引用もされていない」記事の根本問題を見逃します。月次でこの 4 つを比較系・質問系・情報系・取引系の象限ごとに見るのが実用的です。
AI Overviews に引用される記事の作り方を一言で言うと
冒頭 30% に定義と結論を置き、本文に一次情報(自社データ・社内事例・実測値)を最低 1 つ埋め込み、FAQ で質問形クエリを構造化することです。AI が引用しやすい「定義 + 根拠 + 質問への即答」の 3 点セットが揃っているかが最大の判定基準です。